#6 今日も、この部屋で
梅雨の晴れ間は長く続かなかった。
夕方になる頃には、また雲が広がりはじめていた。
氷の入った麦茶をひと口飲む。
窓から入る風が心地いい。
その風の通り道で、もこは今日も気持ちよさそうに眠っていた。
昔より眠る時間は増えた。
それでも、その姿を見ていると安心する。
らぐたんも。
るなも。
ちゃたも。
それぞれ違う時間を生きて、
それぞれ違う思い出を残していった。
思い返せば、不思議なこともたくさんあった。
夢の中で再会したような夜。
ふいに懐かしい気配を感じた日。
何もない場所を見つめるもこの視線。
本当のことは分からない。
全部、ただの偶然だったのかもしれない。
それでもいい。
今の私には、ひとつだけ分かることがある。
会えなくなったからといって、
つながりまで消えてしまうわけではないということ。
思い出は過去にある。
でも、想いは今もここにある。
窓の外で風が木々を揺らした。
もこが眠ったまま、小さく耳を動かす。
私は思わず微笑んだ。
つながっている場所は、遠いどこかにあるだけじゃない。
今日も、この部屋にある。
思い出と一緒に歩いていこう。
今ここにある幸せを大切にしながら。
終
